タカラのキッチンを予算を抑えて導入するための選択肢
システムキッチンの全体的なリフォームを検討する際、高い耐久性と清掃性を誇るタカラスタンダードの「高品位ホーロー」製品は多くのユーザーの憧れとなりますが、見積もり段階で予算の壁に突き当たるケースは珍しくありません。
しかし、タカラスタンダードの広範な製品群の中には、数十万円から100万円以上するハイエンドモデルだけでなく、「既存のキッチン環境からの取り替えやすさ(工期の短縮)」と「初期コストの極小化」に特化して設計された、リフォーム専用のセクショナル(ブロック型)キッチンが存在します。
かつて「エマーユ(Emayu)」という名称で長年にわたり広く親しまれてきたこのシリーズは、現在その設計思想を継承した「アーバス(Arbus)」等としてラインナップに存在し、実家の老朽化したキッチンを少ない負担で一新したいというニーズに的確に応えています。
本記事では、コストパフォーマンスに優れたこの「リフォーム特化型シリーズ(旧エマーユ〜現行アーバス等)」がなぜ安価で提供できるのか、その構造的な理由と「木製キャビネット」を採用することの合理性について詳しく解説します。
■ 費用を抑えるためのリフォーム業者選びの基本
低価格帯のキッチンを導入する場合でも、古いキッチンの解体・処分費や基本的な設置工事費用の部分は、請け負う工事会社によって大きな価格差が生じます。
特定の1社だけの見積もりで計画を進めるのではなく、リフォームを検討する初期段階で「リショップナビ」などの一括見積もりサービスを活用し、自身の計画に対する複数社(優良な地元業者など)の客観的な相場感を確認することが推奨されます。
トータルコストを比較検討することで、予算内で最も納得のいくリフォームプランを構築するための足掛かりとなります。
「エマーユ」から現在の「アーバス」などへの系譜
まず、製品ラインナップの現状について整理します。
ホーロー製でありながらセクショナルキッチンの形状を持ち、レトロで温かみのあるデザインで長年支持されてきた「エマーユ」および「エマーユフラット」というシリーズは、現在タカラスタンダードの主要カタログからは姿を消しており、実質的に取り扱いを終了(廃盤)しています。
しかし、「システムキッチンへの大掛かりな改修ではなく、古くなったブロック型のキッチンを手軽に新しいブロック型へ交換したい」というリフォーム市場の底堅い要望に応えるため、現在でも以下のシリーズがその後継・代替として展開されています。
- アーバス(Arbus):木製キッチン(現在のブロック型キッチンの主力モデル)
- ロイヤル(Royal):木製キッチン
- P型:木製キッチン(アパートや賃貸物件向けに多い仕様)
当時のエマーユが扉材などにホーローを使用していたのに対し、現在の主流であるアーバスなどは「木製キャビネット」を採用しています。これにより、当時以上のコストダウンとリフォーム現場での寸法調整の柔軟性を獲得しており、極めて合理的な製品設計となっています。
タカラキッチンの価格階層における圧倒的な優位性
タカラスタンダードのキッチン製品全体の中で、これらの木製・ブロック型キッチンがどの程度の価格帯に位置しているのかをメーカーの希望小売価格の目安で比較します。
- 【最上位】レミュー(ホーロー):約100万円台〜
- 【中位】トレーシア(ホーロー):約70万円台〜
- 【スタンダード】エーデル(ホーロー):約40万円台〜
- 【リフォーム特化型】アーバス等(木製):約20万円台〜
アーバス等のシリーズは、システムキッチンの半額から3分の1以下という非常に低価格な設定からスタートします。
この圧倒的な低価格は、「本体のキャビネットを木質系(木製)に限定したこと」による材料原価の抑制と、「機能を最低限の『洗う・切る・火を使う』に絞り込んだこと」によって実現されています。
木製キャビネットと「ホーローパネル」のハイブリッド運用
タカラスタンダードを選ぶ最大の理由が「ホーロー」である場合、本体が木製であることに懸念を抱く方もいますが、リフォームの全体設計を工夫することで、タカラならではの強みを十二分に享受することが可能です。
それは、「キャビネット本体は安価な木製シリーズ(アーバス等)を採用しつつ、コンロ周りや壁面にはタカラの『ホーロークリーンキッチンパネル』をオプションで施工する」というハイブリッドなリフォーム手法です。
もっとも油や調味料が跳ねて過酷な汚れに晒される「壁」部分を、ガラス質のホーローでガードし、マグネット収納も可能にする。そして、引き出しや収納の箱である本体部分は木製でコストを抑える。このメリハリのある予算配分は、低コストで美観と清掃性を向上させる非常に賢実なプランニングと言えます。
工期と付帯工事費を圧縮するブロック型キッチンの構造
本体価格の安さに加え、アーバスやロイヤルといったブロック型キッチンがリフォームに強い最大の理由は、「設置に関わる付帯工事(人件費や配管工事費)が極小化される構造」にあります。
1. 最短「1日(数時間)」でのスピード施工
一般的な最新システムキッチンの導入には、大規模な解体、給排水・ガス配管の再引き直し、壁の下地の造作など、数日から1週間程度の工期を要し、その間は台所が一切使用できなくなります。
対して、ブロック型(セクショナル)キッチンは、完成済みの箱(流し台・調理台・コンロ台)を現場に持ち込み、並べてジョイントするだけで据え付けが完了します。既存のブロック型キッチンからの交換であれば、壁や床の大規模な解体を伴わず、半日から1日で工事が終了し、その日の夕方には新しいキッチンでの調理が可能になります。
2. 既存の「壁出し水栓(蛇口)」をそのまま活用可能
現代のシステムキッチンの多くは、水栓金具がキッチンの天板(シンク作業台)から立ち上がる「立ち上がり水栓」を採用しています。
築年数の古い住宅で主流だった「壁出し水栓」の環境に最新のシステムキッチンを導入する場合、壁の解体と配管を床下等へ移設する大掛かりな水道工事が発生し、これがリフォーム総額を大きく押し上げる要因となります。
しかしアーバスなどのシリーズは、既存の壁出し水栓の配管をそのまま活かして設置できるように設計されており、不要な配管切り回し工事の費用を丸ごとカットすることが可能です(※水栓デザインを新しい壁出しタイプに交換することも容易です)。
3. 傷んだ箇所だけの「部分交換」に対応
システムキッチンは一枚の長いワークトップ天板で覆われているため、コンロ下の収納だけが腐食した場合でも、基本的にはキッチン全体の交換となります。
一方、独立した箱の集合体であるブロック型キッチンであれば、「流し台(シンク)」部分だけ、あるいは「コンロ台」部分だけを単独で発注し、部分的に交換するという究極のコストダウンが可能です。
まとめ:目的を絞り込んだ合理的なキッチンリフォーム
タカラスタンダードの「リフォーム型木製キッチン(旧エマーユ、現アーバス・ロイヤル等)」の特徴をまとめます。
- タカラ製の中で最も低価格帯(20万円台〜)に位置し、初期費用を大幅に抑えられる。
- 既存の配管(壁出し水栓等)を活かせるため、高額な水道工事・解体工事を回避できる。
- 据え置き型のブロック構造により、最短1日の工期で日常の生活リズムを崩さずに工事が完了する。
- 本体のグレードを抑えた分、油汚れが酷い壁面へ「ホーローパネル」を組み合わせるのが非常に効果的。
「使い勝手の良い大きな引き出しや、高いデザイン性は求めない。古くなって水漏れが心配な流し台を、なるべく安く、早く、清潔な新品に交換したい」という明確な目的を持つユーザーにとって、アーバスなどのシリーズは極めて実践的で頼もしい製品です。
ご自宅の状況に適合するかどうか、まずはタカラスタンダードのショールームで最新のブロック型キッチンの実物を確認し、ホーローパネルとの組み合わせ等について専門のアドバイザーへ相談してみてください。